コラム

お店づくりの大事なプロセスを、プロの視点で覗いてみませんか?
2011.03.25 |コラム

 だんだんと暖かくなってきた今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか?2011年3月に入り東北地方太平洋沖地震という未曾有の大災害がおこりました。1日も早い復旧・復興、1人でも多くの方々の救出が望まれるところです。福岡の方々では西方沖地震のご記憶が新しいところでしょうか?私自身阪神・淡路大震災を経験しているので、非常に複雑な思いです。

 さて、震災のため新幹線全面開通に合わせた各種のイベントは中止になりましたが、数年来事業が進んでいましたJR博多駅ビル「JR HAKATA CITY」が3月3日にオープンしました。皆さまはもう行かれましたか?オープン直後の大混雑を避け、つい先日私も行って参りました。福岡というよりも九州地区で久々に都市部での大規模開発ということや、阪急百貨店・東急ハンズを中心とした九州初上陸のテナント構成ということもあり、非常に高い注目を浴びていますね(連日情報番組でも取り上げられていましたし)。今回はこの注目施設「JR HATKATA CITY」をレポートしたいと思います。


福岡における「JR HATKATA CITY」という商業施設
 JR HAKATA CITY 〜 JR九州が総事業費約600億円もの巨費を投じた施設です。2007年の井筒屋撤退から考えると長かったような早かったような?売場面積約10万㎡の規模は、駅ビル商業施設としては日本最大級だそうです。施設全体の年間売上見込みが700億円とされており(最近の不況下ではなかなかお目にかからない数字のオンパレードですね)、「商圏はアジア」ととらえている点が頼もしくもあります。


まず施設を大博通りから眺めると、その姿は … 壁。かつてJR京都駅ビルを初めて見たときに近い印象?(京都駅ビルは「古都京都」だけに周辺の景観との兼ね合いで物議をかもしていました)線路やホーム等の駅の機能は必要ですし、各種規制の中での規模確保となるとやむを得ないところはあるのでしょうね。で、ビルに近づくと目に飛び込んでくるのは、ついに九州上陸を果たした「東急ハンズ」&阪急百貨店ではなく「阪急」のロゴ(別に阪急電鉄が乗り込んできたわけではない)。ん〜「JR」も「博多」も見当たらない?施設名は?…よくよく見ると他のロゴより小さめ、色もビルに若干同化気味の「博多駅」「JR HAKATA CITY」の文字。こんなに控えめで良いのか?と個人的には思ってしまいます…皆さんはどう思いますか?


 ところで、開業前から天神地区への影響が懸念されていましたが、現時点では実際どうなのでしょうか?開業前には天神地区の各商業施設がポイントカード等のサービス面で連携し博多駅ビルを迎え撃つ!といった印象がありましたが…。

 開業1週間でJR HAKATA CITYへの来場者数は約182万人にのぼるそうですが、その間の天神地区の商業施設の売上状況は?というと前月比10〜15%程度の減となったそうです(思ったよりも少ない下げ幅とプレスでコメントされていました)。また、天神−博多間のバス乗客は33%増となっているので、一方的に博多駅へ顧客が流出したというよりも天神−博多を回遊している人が多くいる、と見た方が正しいかもしれません。

 今回の博多駅の開発については、天神地区へのマイナスの影響が強調されていたように思われます。確かに、開業直後の一極集中(オープン景気)が起こることは間違いないでしょう。立地的に距離・時間共に近接しているため直接的な競合もやむを得ません。また、「百貨店」という業種・業態を考慮すると、それが集積する天神地区とは「モロ」にバッティングする部分もあるでしょう。ですが、単純に商業規模やバラエティさ等で比較すると、「九州初上陸テナント」という優位性はあるものの、商業機能としては未だ天神地区に軍配が上がる部分が大きいのではないでしょうか?双方が良い意味での「競合」をするためには、博多駅界隈で更なる開発や店舗の集積を待つ必要があると思われます。それぞれの地区が充実し差別化(地区の特徴付け)をされることによって、消費者にとってより良い商業環境となっていくのではないでしょうか?同じものが2地区にできてはパイの取り合いにしかなりません。

 新幹線の全面開通により、福岡市の商圏拡大が期待される状況にあって、今回の博多駅ビル開業によって「博多駅界隈」という市内の商業核が増えることは、大きくは福岡市商業の活性化 〜 天神地区にとっても新たな顧客獲得の機会、と頑張って欲しいものです。もしこの先JR HAKATA CITYが大失敗〜博多駅界隈が凋落したとしても「天神地区ばんざ〜い!」とはならないと思いますが…?西鉄が天神地区の商業施設を平成23年度中にリニューアルするとの発表もあり、今後の動向が改めて注目されるところですね。

 では、次回はJR HAKATA CITYの「中身」についてレポートしたいと思います。

「お店のフシギ研究所」主任研究員 小林裕幸