コラム

お店づくりの大事なプロセスを、プロの視点で覗いてみませんか?
2010.04.22 |コラム


お店をつくる法的な規制を2回に分けてテーマにしています。
市街化区域内での「土地利用の規制=用途地域」の考え方を中心に、
「つくってよいお店・つくってはいけないお店」について解説します。

市街化区域内においては良好な都市環境を形成するために、
「土地利用の規制をする=用途地域の指定をする」ことになっています。
この「用途地域」とは、住居・商業・工業等、用途が混在することを防ぐ目的として、
土地利用目的に応じて12種類の用途地域が定められており、
主に建築基準法の規定によって、建物の種類・高さ・大きさ等が規制されています。

a)各用途地域について
(1)第一種低層住宅専用地域
第一種低層住居専用地域は低層住宅の良好な住環境を守るための地域で、
各用途地域の中で最も厳しい規制がかけられている地域。
床面積の合計が50㎡までの住居を兼ねた店舗や、小規模な公共施設、
小中学校、診療所などは建てることができます。
2階建て程度の戸建て住宅・アパート主体の住宅地をさしており、
小規模な店舗兼用住宅が点在する程度で、通常はコンビニエンスストアも
建てられない地域です。
※用途規制:兼用住宅で、非住宅部分の床面積が、50m²以下かつ建築物の延べ面積の1/2未満のもの。
また非住宅部分における用途規制あり。(事務所・日用品の販売店・食堂・喫茶店・理美容・
クリーニング取次・洋服店・パン屋・菓子屋・教室、囲碁教室等)

(2)第二種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域は主に低層住宅の良好な住環境を守るための地域で
第一種低層住居専用地域に次ぐ規制のかかった用途地域。
店舗等は150㎡以下、かつ店舗部は2階以下のもので、用途規制がかけられる。
第一種低層住居専用地域の例の他、コンビニエンスストアなどの
小規模な店舗などが見られる。
※用途規制:第一種低層住居専用地域とほぼ同等

(3)第一種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域は中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。
店舗等は500m²以下、かつ2階以下の店舗等が建てられる。
中規模な公共施設、病院・大学なども建てられる。
3階建て以上のアパートやマンションがある住宅街などの他、
店舗が見られるエリアが多い。
※用途規制:第二種低層住居専用地域程度に加え物販店・飲食店・銀行の支店等

(4)第二種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域は主に中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。
住居専用とは言え、店舗等についてはかなり緩和されている。
1,500m²までの店舗や事務所等が建てられる。用途として、
第一種中高層住居専用地域の例に加え、小規模のスーパー、
その他やや広めの店舗・事務所などがあるもの。
※用途規制:第一種中高層住居専用地域と同等の店舗他、1,500㎡以下かつ2階以下の店舗
パチンコ店・カラオケ店・映画館・ボウリング場等は不可

(5)第一種住居地域
第一種住居地域は住居環境を保護するための地域で、店舗等については
3,000㎡以下の店舗・事務所・ホテル等が建てられる。
食品スーパーや小規模のホテル、ボウリング場、その他中規模の
店舗・事務所などが見られる。
※用途規制:パチンコ店・カラオケ店・映画館等は不可

(6)第二種住居地域
第二種住居地域は主に住居の環境を保護するための地域であるが、
かなりの用途の建物の建築が可能となっており、10,000㎡までの
店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等(映画館は不可)が建てられる。
郊外の駅前や幹線道路沿い等のように、アパートやマンションがあり、
大きめのスーパーや商業施設・事務所などが見られる地域。

(7)準住居地域
準住居地域は国道や幹線道路沿いなどに見られ、自動車関連施設などと
住居が調和した環境を保護するための地域とされる。
10,000m²までの店舗・事務所・ホテル等の他、パチンコ店・カラオケ店等や、
小規模の映画館(客席200㎡以下)等も建てられる。

(8)近隣商業地域
近隣商業地域は駅前商店街のように、小さな店舗が集まっている場所や
ショッピングセンター等が見られる地域。近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、
業務の利便の増進を図る地域。ほとんどの商業施設・事務所や、
住宅・店舗・ホテル・パチンコ店・カラオケ店・映画館等のが建てられる。
延べ床面積規制が無く、大規模建築物が建つ場合もある。

(9)商業地域
商業地域は都心部の繁華街やオフィス街等に見られる、
商業等の業務の利便性増進を図る地域。
ほとんどの商業施設や事務所、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等、
映画館、車庫・倉庫、小規模の工場のほか、風営法に関連する施設も建てられる。
延べ床面積規制が無く、容積率限度も相当高いため、高層ビル群も建てられる。
近年は都心回帰の流れもあり、商業地域に高層マンションなども建設されている。

(10)準工業地域
準工業地域は主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域をさす。
工場関連の規制がかけられる以外は、住宅や商店などはほぼ全ての用途の
建物が建てられる。多様な土地利用が可能であるものの、しばしば住宅と
工場・遊戯施設などが混在し、騒音などのトラブルが起こりがちでもある。

(11)工業地域
工業地域は主に工業の業務の利便の増進を図る地域とされる。
どんな工場でも建てられる他、住宅・店舗(10,000㎡以下・映画館等は不可)の
建築も可能。工場の隣に社員寮や食品スーパーがあるような地区がその例となる。
但し、学校・病院・ホテル等は建てられない。

(12)工業専用地域
工業専用地域は工業の業務の利便の増進を図る地域で、どんな工場でも建てられる。
但し、住宅・物販店・飲食店・学校・病院・ホテルや福祉施設等も建てられない。
住宅建設ができない唯一の用途地域であり、湾岸地域などの工業地帯をさす。
石油コンビナートや製鉄所などの環境悪化の可能性が大きい設備が設立されている
地域である。また、花火工場などの危険性が極めて大きい工場もこの地域に建設される。


b)用途地域の指定が無い地域について
用途地域の指定が無い区域を白地地域と呼び、商業地並みの規制
(10,000㎡以下の店舗等)だったため開発が進行していましたが、
法改正により地方自治体が制限することが可能となっています。

〜これまで述べたように、それぞれのマチにおいては
「お店をつくれる場所とつくっては行けない場所」が
あり、その中でも「つくれるお店とつくっては
いけないお店」が各自治体によって定められているので
確認が必要です。

基本的に、乱開発による環境の悪化を防ぐ面からの
規制となっていることからも、お店をつくる側としては、
「マチ」と「マチに住む人々」への配慮というものが
重要でしょう。また、詳細には触れていませんが、
用途地域毎・土地毎に建物の用途だけでなく、
高さや大きさに対する規制(高さ規制/建ぺい率/容積率等)
がある他、各種の法令や各自治体の条例等もあるため、
実際にお店をつくる際には専門家へのご相談や各市町村等への確認が必要といえます。


「お店のフシギ研究所」主任研究員 小林裕幸