コラム

お店づくりの大事なプロセスを、プロの視点で覗いてみませんか?
2010.03.27 |コラム


「お店」と一口にいっても、マチには様々なお店があります。
ふだんからよく利用する食品スーパーやコンビニエンスストア、美容室や飲食店から、
大きなものではショッピングセンターなどもありますね。
これらのお店は、土地と資金(プラス情熱?)さえあれば、
「どんな場所でもつくれる」というわけではないこと、ご存じでした?

しかも、「つくれる場所・つくれない場所」があるだけではなく、
「つくれる場所」の中でも「つくってよいお店・つくってはいけないお店」まで、
きちんと法律で定められているのです。
毎日のように目にするあのお店もこのお店も、すべて決められたルールのもとで存在し、
私たちの生活を楽しくしてくれているって思うと、なんだかありがたいものに思えてきませんか。


つくれる場所・つくれない場所
(1)日本国内の土地利用について
お店をつくれる場所・つくれない場所は、
都市計画全体の枠組みのなかで決められています。


少し専門的な話になりますが、まず、日本国内の土地利用については、
都市計画法という法律に基づいて、各都道府県が「都市計画区域」という
都市の範囲を設定しています。この区域は国土の約26%程度しかありませんが、
全人口の実に約92%の人々が住んでいます。

この区域については、都心の市街地から郊外の農地・田園地帯等、人や物の流れ、
発展の見通しや地形等、一体的に都市として考える必要があるエリアを指定することになっています。
各種の都市施設(道路や公園、上下水道・ガス・電気等の他、病院や学校、官公庁施設や住宅、
商業施設等を含みます)を総合的に整備・開発・保全を図る区域で、開発行為や建築については、
土地利用の制限等について、都道府県や市町村、特定行政庁に各種の申請や許可を必要とします。

また、都市計画区域に該当しないエリアで、これから市街化が進行することが見込まれる区域
(高速道路インターチェンジ付近等)に対し定める、「準都市計画区域」というものもあります。

これらの区域外の場所では、原則何らの規制は無い(条例で規制されている場合がありますが)
のですが、近年景観や自然環境等の保全の目的からも規制の動き
(国土全てを区域に入れるべきという意見もあります)もあり、
これから実際に開発・建築をお考えの方は、各自治体への確認が必要でしょう。


(2)都市計画区域内の土地利用について
お店づくり(市街化)が歓迎される場所とそうでない場所。
さらに、どちらともいえない“空白地域”も?


都市計画区域においては、計画的にマチが形成されるように、
「市街化区域」と「市街化調整区域」に都道府県は区分を定めることが
できるようになっています。

市街化区域とは、「すでに市街地を形成している」もしくは「計画的に市街化を図るべき」
とされる区域で、積極的に市街地をつくっていく区域です。さらに、この区域内を、
良好な都市環境を形成するために、土地利用の規制をする(=用途地域の指定)ことになっています。

市街化調整区域とは、市街化区域とは反対に、市街化を抑制する区域です。
この区域内については、開発行為は原則として抑制され、都市施設の整備も
原則として行われない(=新たにお店をつくってはいけない)場所とされます。

他に市街化区域でもなく市街化調整区域でもない区域として「非線引き区域」という区域もあります。
これは、まだ区域分けされていない区域という概念によりますが、
今後の都市化の動向を勘案して都道府県が是非を決めることになっており、
用途地域の指定についても任意の扱いになっており、この区域内での開発行為や
建築についても各自治体への確認が必要でしょう。

また、これらの区域については、未来永劫変わらないということはありません。
(1)にあげた「準都市計画区域」については近年設定されたものですし、
市街化調整区域については道路整備状況や公共団体による事業の実施、
市町村合併等によるマチのありかたの見直しや、ショッピングセンターの開発用地として
地元住民・企業からの土地用途変更の要望〜周辺の状況や地域活性化の観点から
変更されることもしばしば見られます。

このように、お店をつくっていい場所、つくってはいけない場所は、
私たちのライフスタイルや価値観の変化とともに塗り替えられているんですね。
お店が完成するその前の、ちょっとフシギなお話でした。

ちなみに、今回の話でふれました、お店をつくれる「市街化区域」は
国土のわずか約4%程度、お店をつくれない「市街化調整区域」は国土の約10%程度、
つくれるかどうかは今後の動向次第という「非線引き区域」は約12%程度となっています
(今の日本は人々が本当に密集しているんです)。
また、市街化区域に関しても、お店をつくるためには、各種の届出や制約があり、
各自治体や専門家への相談が必要と考えられます。

次回は、市街化区域内での「土地利用の規制=用途地域」の考え方を中心に、
「つくってよいお店・つくってはいけないお店」についてふれていきます。

「お店のフシギ研究所」主任研究員 小林裕幸